これからが旬の「エンドウ豆」を楽しもう

エンドウ豆は、成長段階に応じて食べ方も味わいも変化する食材です。
あまり意識していないかもしれませんが、和食や和菓子によく使われる食材でもあります。これからの季節、柔らかいエンドウ豆は特に美味しくおすすめです。
今回は「エンドウ豆」のあれこれをご紹介いたします。

えんどう豆はピンク色の花です

ピンク色の花が咲きます。

豆苗、サヤエンドウ、グリーンピース、ウグイス豆はみ~んな「エンドウ豆」

豆苗(とうみょう)

意外にご存知ない方が多いのですが、スーパーで売られている豆苗は、じつはエンドウ豆を発芽させたものです。

シャキシャキした歯ごたえが特長でビタミンKが豊富です。ビタミンKは骨の形成を促す栄養素なので、骨粗鬆症が心配な方にはおすすめの野菜です。その他にも抗酸化作用のあるβカロテン、ビタミンC、妊婦に必要な葉酸なども多く含まれています。

発芽した茎葉を食した後、残りの根を水に浸しておくと再び発芽させることができ、約1週間で再収穫できるのも魅力です。このような再収穫は2回くらいできますが、それ以上ですと成長の勢いが弱くなりおすすめできません。

また冬から早春に土植えしておけば、成長して4~5月頃にはサヤエンドウを収穫することが可能です(ただし霜に合わないようお気をつけください)。3月に入りポカポカ陽気になるとツルをグングン伸ばしますので支柱やネットを張ってツルを這わせて育てていきます。

 

サヤエンドウ

関東では花が咲いた後の4~5月頃にサヤをつけ始めます。若くて柔らかいこの時期はサヤごと食することができ、それをサヤエンドウと呼びます(関東では「絹サヤ」とも呼ばれています)。

サヤエンドウには独特の臭みが少ないので食べやすく、和食の彩りとしてもよく使われます。豆苗と同様にβカロテンやビタミンKを多く含み、これらの栄養素が脂溶性なので油を使った調理法で食すると吸収効率が高まります。我が家ではゴマ油でサッと炒めてから溶き卵で“卵とじ”にするのが定番メニューとなっています。

サヤエンドウの仲間には、サヤエンドウより一回り大きい「オランダエンドウ」や、サヤがぷっくりしていてパリッとした歯ごたえの「スナップエンドウ」、糖度が高い「砂糖ザヤ」などがあります。

筆者さんの家のえんどう豆!ふっくら膨らんで美味しそう!

筆者さんの家のえんどう豆!ふっくら膨らんで美味しそう!

グリーンピース

サヤエンドウをさらに成長させると豆が太ってきます。その未完熟の柔らかい豆だけをサヤから取り出したものがいわゆるグリーンピースです。

グリーンピースのモサモサした食感や独特の青臭さが苦手という方もいるようですが、食べやすくするコツは ①新鮮なものを選ぶ ②食べる直前に豆をサヤから取り出す ③少し長めに茹でる(プラス5分位)と良いようです。

グリーンピースは脇役のイメージが強いようですが、じつは食物繊維やたんぱく質が豊富で、他にもβカロテン、ビタミンB1、B2、カリウムなども多く含まれています。大いに食卓に取り入れましょう。

エンドウ豆

完熟したエンドウ豆は、主に緑色をした青エンドウ豆と赤茶色の赤エンドウ豆の2つに分けられます。乾燥した豆は虫がつかないよう、直射日光を避けて密閉容器で保存すれば1年以上保管できます。

これらの豆は和菓子によく使われ、青エンドウ豆はウグイス豆とも呼ばれ“ウグイス餡(あん)”に、赤エンドウは“みつ豆”に欠かせない食材です。

この他にも最近は、大豆アレルギーの人の代替品として注目されるようになってきました。同じ豆類ではありますが、大豆に比べてアレルギー性が比較的低いようです。

また、アスリート向けにエンドウ豆プロテインが登場し、今後もニーズが高まりそうな予感です。

ミリオン管理栄養士 大森貴舟