寒い季節は「高血圧」にご用心

まだまだ寒さが厳しいこの季節。高血圧症の方にとっては注意が必要な季節といわれます。特に心臓や脳血管のトラブルが心配な方は過ごし方に細心の注意が必要です。
ではなぜ注意が必要なのか、まずはそのあたりについてお話したいと思います。

寒いと血圧が上がりやすいのはなぜか?
ヒトは寒さを感じると、交感神経が優位に働き、血管を細く縮めようとします。
これは血液の流れを一時的に悪くし、体温を逃さないようにする防衛反応なのですが、同時に血圧を上げる状態になります。
健常な方ならそれほど問題にはなりませんが、高血圧の方は血圧が非常に高く上がってしまうため注意が必要なのです。

暖かい場所から寒い場所に移動する時、寒冷刺激が血圧を上げることはご存知でしょうか。
屋外に出るときはもちろんのこと、家の中でもお風呂場、脱衣場、トイレは特に脳卒中や心筋梗塞などを起こして倒れやすい場所といわれています。それは暖かい居間や布団の中とは違い、ひんやり気温差がある場所だからです。トラブル対策としては、なるべく気温差をなくすため暖房を取り付けることが有効です。
また、お風呂のお湯の温度も重要で、冷えた体に熱いお湯の刺激はかえって血圧を上昇させてしまいます。40℃以下のぬるめのお風呂に10分間ほどのんびり浸かるのがよいといわれています。
さらに、早朝は血圧が上がりやすい時間帯でもありますので、布団から出る前に部屋を暖めておくようタイマーを上手く使いましょう。

高血圧の方が塩分を控えた方がよいことは一般的に知られています。しかし血圧上昇と塩分の因果関係はまだ十分に解明されていません。
ただ、塩分に血圧が影響されやすい人が国民の約2割程度いることもわかっていて、こういう方は塩分を控えることが有効とされています。
また残りの8割の方も全く関係がないわけでなく、やはり過剰に塩分を摂取すれば、血中に増えた塩分を薄めようと調節機能が働いて、血中に水分を多く引き込もうとします。その結果、血流量が増え、血管にかかる圧力が高くなるのです。
冬場の料理は、煮込みや汁ものが自然と多くなり、塩分の摂取量も増える傾向にありますので気をつけましょう。

適度な運動は血圧を下げることに有効であることも知られています。
運動は激しいものではなく、ややきついと感じる程度の有酸素運動(心拍数が100-120拍/分、最大酸素摂取量の50%程度)を1日30分以上行うとよいとされていますが10分程度の運動を3回に分けて行ってもOKです。
もし運動に慣れていない方や高齢者の場合には体にかかる負担が大きいため、まずは暖かい家の中で軽い体操や掃除などをして体を徐々に慣らすことから始めましょう。
運動に慣れている方は、屋外の気温差に気をつけて暖かい日を選ぶなど、屋内の運動施設で行うなど無理せず行ってください。

心理的ストレスも血圧を変動させる危険因子の一つです。
ストレスを感じるとある種のホルモンが分泌され、それによって血管の収縮が起こりやすくなります。そんなときにはこまめに自分の血圧を測って状態を把握することが大切です。
ストレス解消方法は人それぞれですが、まずは睡眠をしっかり取ることが有効です。特に睡眠時は血圧が下がっているため、傷ついた血管壁を補修してくれる時間でもあります。

今回は寒い季節に気をつけたい「高血圧」についてお話をしました。
このほかにも注意したいことはいくつかありますが、まずは寒暖差に注意し、健康的な生活習慣を心掛けていきましょう。

ミリオン管理栄養士:大森貴舟