「隠れ冷え性」をご存じですか

手足が温かいのに冷え性!?

私の手足はとても温かく、真冬には手のひらからポッポッと湯気が立ち昇るのが見えるほどで、冷え性とは無関係と思って生きてきました。にもかかわらず体温は35℃台と低めですし、腰や太ももの辺りが年中冷たいことが気になっていました。

そんなある日、中国医学にも精通したお医者様に診てもらう機会があり『あなたは随分冷えていますね、もっと温める生活習慣に変えましょう』といわれて驚いたことがあります。

冷え性は手足が冷たくて辛いとか、お腹が冷えるなどの自覚症状がある人ばかりと思っていましたが、私のような無自覚な人も多くいるそうで、そういう人を「隠れ冷え性」と呼ぶそうです。

冷えは万病のもと

本文:昔から『冷えは万病のもと』といわれ、特に女性は冷やさないようにと言われてきました。

そもそも女性に冷え症が多いのは、熱を生み出す筋肉が少ないことと、排卵月経によるホルモンバランスの乱れが挙げられます。ホルモンバランスが乱れると交感神経も乱れやすくなり、交感神経がコントロールしている消化器系や循環器系にまで不調を呼んでしまいます。

消化器官である腸は免疫を司っており、腸の不調は免疫低下を招くこともあります。

また体温が1℃下がると免疫力が30%低下し、代謝が12%低下するといわれています。風邪やインフルエンザが流行るこの季節、免疫力を落とさないようにしたいものです。

冷えにはタイプがあります

ところで冷え性には明確な基準というものがないそうです。しかしいくつかのタイプに分類でき、それに合わせた対策が必要となります。

【末端冷え型】

手足の先が冷たいと感じるタイプ。主に若い女性やダイエット中の人に多く、食事から得られる熱量が不足するため、内臓を温める時には手足の血管を収縮させて血液を送ろうとして末端に冷えが起こります。

【下半身冷え型】

腰より下の方が冷えるタイプです。中年以降の男女に多いといわれます。長時間座って仕事をする人に多く、お尻や足の筋肉がほとんど使われないために血流が悪くなって起こります。

【内臓冷え型】
中年以降の女に多く、私もこのタイプです。手足は温かいため、自分が冷えていることに気がつかない人が多いのに体の中は冷えていて体温が低いのが特徴です。

これは生まれつき交感神経の働きが鈍いことにより、血管の収縮が上手くできず、熱が手足から体の外へと逃げてしまいます。また内臓への血流量が低下して内臓を冷やしてしまいます。交感神経の働きが弱い時には副交感神経が優位になるため、食欲が活発になるため太り気味な人に多く見られます。

【全身冷え型】
高齢者、若い男性に多く見られ、体表・体内ともに温度が低下している冷え性のタイプです。
不摂生や食事量の不足、代謝機能の低下、慢性的な冷えにより、脳が体温の基準温度を低く設定してしまい、表面と内部に温度差がないため冷えていることに気づきにくいといわれています。

「隠れ冷え性」の対策

【内臓冷え型】や【全身冷え型】は自覚症状がないため「隠れ冷え性」といえますが、ただ温めることだけでなく生活習慣を見直すことが重要となってきます。そのポイントを下記にまとめました。

 

【運動】

・運動や軽度でも体を動かすことにより血流改善を図る。

・筋肉は熱を生み出す場所であり、筋肉量を増やすことで熱の生産効率を良くする。
【食事】

・過度な食事制限をしない。

・冷たいものを控えて、温かい食事を心がける。

・ニンニクや生姜などの体を温める食品を適宜利用する。

・筋肉の材料となるタンパク質をしっかり摂る。

・お酒の飲みすぎは控える。飲酒により血管が拡張され、熱が逃げやすくなってしまうため。

【その他】

・湯船に浸かりリラックスを図る。

・イライラやストレスを溜めない。

・タバコは控える。
・規則正しい食事、睡眠を心掛ける。

 

 

今回は冷え性の中でも「隠れ冷え性」についてお話いたしました。

ほぼ無自覚というのが厄介ではありますが、冷え症の自覚がある方も含め、体質とあきらめないで生活習慣を見直すことで改善していきましょう。

 

執筆:管理栄養士 大森貴舟